加温による温熱療法〔温熱療法〕
約42.5℃の温熱療法
ガン細胞のこうした性質を実際の治療に役立てることは、身体の表面だけでなく深部まで42℃~43℃に加温できなければなりません。
実は、そのための装置を開発するのが容易ではありませんでした。
1980年代には、世界中で加温装置の開発競争が起こりましたが、思うような成果が上がらずにいたところ、なんと日本で、二枚の電極で体を挟み、高周波を流して患部を温めるサーモトロンという技術が京都大学医学部教授の指導で開発され、温熱療法は一躍ガンの治療法として確立されました。
この温熱療法による加温装置は、二枚の電極からラジオ波という電磁波を発生させ、体を構成する分子を毎秒800万回振動させることで分子どうしの摩擦熱を生み出し、患部を温めようとするものです。
なお、一般に温熱療法と呼ばれる治療法にはさまざまな種類があるため温熱療法は岩盤浴と呼んで区別されます。
温熱療法がガンの治療で効果を発揮するのは、ガン細胞が正常な細胞より熱に弱いという性質を持っているからです。
ここでみなさんが心配になるのは、温熱療法を受けると、ガン細胞だけではなく正常な細胞や組織まで障害を受けることはないか、ということだと思います。
しかし、その点はご安心ください。
温熱によって正常な細胞がガン細胞と同じように温められても、正常な祖織では血管が拡張して血液が大量に流れ込み熱が速やかに運び込まれるため、温度がそこまで上昇することはないからです。
温熱療法が、医療学会で大きな注目を浴びている。
温熱がもう一つ優れているのは、HSP(熱ショックたんぱく)の産出を促すことです。
HSPは、細胞が温熱ストレスを受けたときに細胞内で生じる特殊なたんぱく質で、次に起こる温熱ストレスから細胞を守る働きがあるといわれています。
このHSPには、体力を回復させて体を元気にしたり、痛みを軽減させたりする作用があると考えられています。したがって、ガンの患者さんが温熱療法を受けるとHSPが生み出されて元気になり、いきいきとした表情になります。
また、私たちは、温熱療法を行うと免疫力も強まるといわれています。
これは、温熱ストレスによって生じたNSPがNK細胞というガン退治の主役を担う白血球の働きを活発にしたり、抗腫瘍作用を持つインターフェロンの体内での合成量を増やしたりするためだと考えられています。